「今」から始めればいいじゃない

趣味物書きによる色々(迷走中)

短文

短文002

冴え冴えと冷たい朝にふと春の気配が咲いた気がした。 ほの甘い匂いを視線で辿れば、そっと蕾を開いた梅が一輪。 この奥ゆかしい香りは確かに春めかしい。 冷たさの中に見つけた春を遠い昔の王朝人も愛したのだろうと思うと、冬の終わりに人が思うことは千年…

短文001

太陽が まるで色と温度を奪いながら空の向こうに蕩け落ちていくようだった。 世界が色褪せていき、カサカサと音を立てて乾いていく。 あの木を彩る色あざやかさはつい昨日のことのようだと思ったのに。 温もりと彩りは、まだ遠い。